腹黒王子に囚われて
だけどなんでだろう。
こんな奴、相手にするのはめんどくさいって思ってるのに
なぜか瑛太とする会話の一つ一つが、ちょっとだけ楽しくて……
「ねえ」
「あ?」
「今日も一緒に帰るの?」
「当たり前じゃん」
黙ってしまった沈黙に、あえて分かり切ってた質問をしたりした。
「なあ」
「何?」
もうすぐ駅が見えて、そこを過ぎれば学校の生徒がたくさんいる。
そんなとき、瑛太が口を開いた。
「キス。したいんだけど」
あまりにも突発的な発言に、眉をしかめて瑛太を見上げた。