腹黒王子に囚われて
 
だけどなんでだろう。


こんな奴、相手にするのはめんどくさいって思ってるのに
なぜか瑛太とする会話の一つ一つが、ちょっとだけ楽しくて……



「ねえ」
「あ?」
「今日も一緒に帰るの?」
「当たり前じゃん」



黙ってしまった沈黙に、あえて分かり切ってた質問をしたりした。



「なあ」
「何?」



もうすぐ駅が見えて、そこを過ぎれば学校の生徒がたくさんいる。

そんなとき、瑛太が口を開いた。





「キス。したいんだけど」





あまりにも突発的な発言に、眉をしかめて瑛太を見上げた。
 
< 69 / 257 >

この作品をシェア

pagetop