腹黒王子に囚われて
「やばい。帰る」
「帰るって、電車は?」
「ない。……タクシーかぁ…」
「……泊まってけば?」
「え?」
痛い出費…と思ってたけど、瑛太がまさかの提案を出してくれている。
「で、も……
お父さん、帰ってくるんじゃないの?」
「いや、今出張中で帰ってこねぇし。
お前も一人暮らしだろ?心配する奴いねぇなら、泊まってけばいいじゃん」
「……」
そう言われても、さすがに一瞬悩んだ。
確かにあたしと瑛太は付き合っているけど、でも正式には付き合ってはいなくて……。
でも……
そっか。
べつに……
「じゃあ……お願いします」
結局、あたしは瑛太の家に泊まることになった。