腹黒王子に囚われて
 
結局、瑛太は本当に家に来た。

まあ、一人暮らしのこの部屋で、誰かが待っているわけでもないから気兼ねしないだろうけど……。


「疲れたー……」


この人、人の部屋でくつろぎすぎじゃない?


勝手に鞄を置いて、人のベッドに寝転ぶ。

まだ来るのは2回目のはずなのに、このありさまだ。


「熱。大丈夫なの?」
「ん。おかげさまで」


顔色を見ても、確かに熱はもうなさそう。

血色のいい肌と唇を見て、ほっとしていた。


「それよりも……眠い」
「そりゃ、夜全然寝てないから」
「寝ていい?」
「なら、家に帰りなよ」
「無理ー。電車で寝ちゃう」
「知らないよ」


あたしの反論は虚しく、会話をしながら、もそもそと布団の中へ入っていく瑛太。


だからなんで……



「葵も一緒に寝る?」



瑛太は布団をひらりとめくると、あたしを呼び込んだ。
 
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