ラッキーセブン部 【番外編】

荻野 正弥編

「お兄ちゃん。メリークリスマス!」
「麻弥。メリークリスマス」

今日は母さんや麻弥と対面できる貴重な日。この前の誕生日の日も郵送でプレゼントを贈ったため、麻弥とは会っていなかった。

「今日は…2人で出掛けてくれば?」

俺はそう母さんに提案した。俺が麻弥と会えるのが一年に一回だとしたら、母さんと父さんも一年に一回しか会っていないからだ。貴重な時間は二人で楽しく過ごしてほしい。

「行ってきなよ。お母さん!私、お兄ちゃんと留守番しながら、ケーキ作ってるから」
「…じゃあ、出掛けますか?」
「そうだ…な」

母さんと父さんは少しはにかんでいた。天の川に橋をかけて渡れるのはもう少しかもしれないな。

「お兄ちゃん。嬉しそうだね」
「麻弥もな。…ていうか、ケーキ作るのか?」
「うん。美味しいの作ってあげる」

それは楽しみだと言いたいところだが、麻弥の料理は…味覚をおかしくしてしまう作用がある。それほど、下手だっていう事。作ってくれるのは嬉しいだが、ココアパウダーと唐辛子を間違えないように見張る必要がある…。

「じゃあ、材料はこれだけで作ってくれるか?」
「うん。分かった」

麻弥は笑顔で材料を受け取った。これでひとまず、安心か。

笹井先輩はこの特別な日に特別な人と過ごしてるんだろうか…。
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