ラッキーセブン部 【番外編】
それぞれのクリスマス?(後編)
倉石 佳介編
入ってはいけない店に入ったみたいだ…。まさか、笹井先輩がこの店でバイトをしてるとは思わなかった。会えたのは嬉しいけど、この状況はちょっと…。笹井先輩はすごく挙動不審だし。彼女は何かに感づいてるみたいだし。色々と困る。
「佳介君。あの店員さんと知り合いなの?」
「…うん。部活の先輩」
「…そうなんだ」
だから…怖いってこの空間。
「ホットココアです」
「は、はい」
良かった…運んできてくれたのは笹井先輩じゃない。
「佳介君。私、お手洗いに行ってくるね」
「え。うん」
彼女はそう言って、席を立った。すると、笹井先輩が厨房から出てきて俺の所にやってきた。
「…倉石君。彼女とデート中?」
「そう…ですね」
「クリスマスだもんね。…でも、この店に来るなんて…」
笹井先輩、完全に拗ねてる。笹井先輩、やっぱり、彼氏いなかったのか…。何をホッとしてるんだろう。俺には彼女がいるというのに。
「彼女が来そうだから戻るね、私」
「あ…はい」
笹井先輩は少し咳払いしてから俺の席を去った。
それから、一分も立たないうちに彼女が帰ってきた。さっきよりも落ち着いた様子で…。
「…佳介君。えっと…話を聞いてくれる?」
「うん。聞くよ」
そして、俺をまっすぐ見つめて口を開いた。
「私、来年、海外に留学する事になったの…」
「え…」
突然の話に俺は目をパチクリとさせた。英語が好きな彼女なら、いつかは留学するとは思っていたがこんな唐突に言われると思わなかった。そんな話は一回も彼女としてないし。
「それで…佳介君に一つ質問したいんだけど…良い?」
「…うん」
何を言われるのか分からなくて怖いけど、ここで質問に答えないと後で、後悔をするような気がした。
彼女はそして、口をゆっくりと開いた。
「来年、離れていても私の事を好きでいてくれる?」
…一回言われただけの一言なのに俺の頭の中では何回も巡っていた。彼女は真剣な顔で俺の言葉を待っている。
俺は…彼女を…来年も好きでいれるだろうか…。
「…ごめん…。分からない…」
俺の口をついて出てきたのはその言葉だった。
来年…。今、笹井先輩に傾いている気持ちが本物になってしまうかもしれないし…卒業してしまう笹井先輩をまだ好きでいるかも分からない…。
「…だよね…分からないよね。ごめんね。変な事、聞いて…」
そんな俺の気持ちを知らない彼女は俺に謝りながら顔を俯かせていた。けど、俺は今、何を言ったら良いか分からない。
「なぁ。ちょっと、外に出ない?」
「うん…」
俺達は会計を済まして外に出た。
外に出ると、彼女は何やら袋を取り出してきた。
「何それ?」
「マフラー…だよ。はい、あげる」
「ありがとう。長いね。2人で巻く?」
「え。良いの?」
「うん」
俺と彼女は一緒のマフラーを巻いた。言い出しっぺなのは俺なのに少し…いや、だいぶ恥ずかしかった。彼女も恥ずかしいのかずっと俯いていた。この時間がずっと続いたら良いのにな…。
「佳介君。あの店員さんと知り合いなの?」
「…うん。部活の先輩」
「…そうなんだ」
だから…怖いってこの空間。
「ホットココアです」
「は、はい」
良かった…運んできてくれたのは笹井先輩じゃない。
「佳介君。私、お手洗いに行ってくるね」
「え。うん」
彼女はそう言って、席を立った。すると、笹井先輩が厨房から出てきて俺の所にやってきた。
「…倉石君。彼女とデート中?」
「そう…ですね」
「クリスマスだもんね。…でも、この店に来るなんて…」
笹井先輩、完全に拗ねてる。笹井先輩、やっぱり、彼氏いなかったのか…。何をホッとしてるんだろう。俺には彼女がいるというのに。
「彼女が来そうだから戻るね、私」
「あ…はい」
笹井先輩は少し咳払いしてから俺の席を去った。
それから、一分も立たないうちに彼女が帰ってきた。さっきよりも落ち着いた様子で…。
「…佳介君。えっと…話を聞いてくれる?」
「うん。聞くよ」
そして、俺をまっすぐ見つめて口を開いた。
「私、来年、海外に留学する事になったの…」
「え…」
突然の話に俺は目をパチクリとさせた。英語が好きな彼女なら、いつかは留学するとは思っていたがこんな唐突に言われると思わなかった。そんな話は一回も彼女としてないし。
「それで…佳介君に一つ質問したいんだけど…良い?」
「…うん」
何を言われるのか分からなくて怖いけど、ここで質問に答えないと後で、後悔をするような気がした。
彼女はそして、口をゆっくりと開いた。
「来年、離れていても私の事を好きでいてくれる?」
…一回言われただけの一言なのに俺の頭の中では何回も巡っていた。彼女は真剣な顔で俺の言葉を待っている。
俺は…彼女を…来年も好きでいれるだろうか…。
「…ごめん…。分からない…」
俺の口をついて出てきたのはその言葉だった。
来年…。今、笹井先輩に傾いている気持ちが本物になってしまうかもしれないし…卒業してしまう笹井先輩をまだ好きでいるかも分からない…。
「…だよね…分からないよね。ごめんね。変な事、聞いて…」
そんな俺の気持ちを知らない彼女は俺に謝りながら顔を俯かせていた。けど、俺は今、何を言ったら良いか分からない。
「なぁ。ちょっと、外に出ない?」
「うん…」
俺達は会計を済まして外に出た。
外に出ると、彼女は何やら袋を取り出してきた。
「何それ?」
「マフラー…だよ。はい、あげる」
「ありがとう。長いね。2人で巻く?」
「え。良いの?」
「うん」
俺と彼女は一緒のマフラーを巻いた。言い出しっぺなのは俺なのに少し…いや、だいぶ恥ずかしかった。彼女も恥ずかしいのかずっと俯いていた。この時間がずっと続いたら良いのにな…。