涙雨[ナミダアメ]
しばらくしたら、
守が家に来ていて…



守るが、酔っぱらいのアタシを
抱き抱えて寝室に運んでくれた。


「メイカ、おいで。」



何があったかを聞かないで優しく手を広げる守。



吸い込まれるように
アタシは守に包まれた。



「守、アタシさ~
体目当てじゃないとダメなんかな。」


「は?」



「結局男はみーんな、
バカサルみたいなやつなんだよね~」



「本気で言ってるの?
それ…」


眼鏡の奥の瞳が鋭く光る

きっと怒ってる。



でもごめん…
今は口が止まらないんだ。



今さら気づいたよ。
アタシは守が好きだ。



好きで好きでしょうがないよ。


「守もそうなんでしょ?
アンタもやりたいんでしょ?」


ドサッ…


そう言った瞬間だった。



アタシは守に押し倒された。


「メイカは、こうしてほしいの?」


「そんなわけ…」


「俺は、メイカをそんな簡単に抱いたりしない。
礼司だって、変わろうとしてるだろ。本気で俺にこうされたいんなら今すぐにでもやってやるよ。」


「なにいってんの…
そんなわけないじゃん…
アタシはただ…傷つきたくないんだ。
もう悲しい思いなんてしたくない!」




そう言った瞬間、
するりと腕がほどかれた。



「なあメイカ…
俺ってそんなに信じれない?」


「守。」


「俺がはっきりしなかったのは悪かったよ。
けどさ、好きなんだ。
俺はメイカが好きだよ。」


優しくも切なくも見える
その瞳。



アタシは、びっくり
しすぎて守に飛び付いた。


「バカ…」


「メイカ?」


「信じてもいい?」


「うん。」


「絶対離れない?」



「当たり前でしょ?」



顔をあげると、
守は子供みたく笑っていた。



アタシ…両思いってことだよね。


< 119 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop