涙雨[ナミダアメ]
大学帰りの夜、
私は秀の帰りを待っていた。



私のものばかりの部屋。


この部屋に来たばかりの頃は、ウキウキして毎日楽しかった。


《今日のご飯は何にしよう?》

とか


《このカーテンは何色にしよう》とか 


毎日毎日いろいろなことをしていたっけ。



いつからか、狂ってしまった歯車。


その事実と早く向き合っていれば良かったね。



私達は間違っていたんだよ。



「ただいま。」


「お帰りなさい。
雫、何のつもり…」



私のものがすっかりなくなった部屋に眉を寄せた秀。



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