涙雨[ナミダアメ]
麗夜side


バンッッ!!



乾いた音が鳴り響いた
時だった。



「秀さん!!」


ドカッと鈍い音とどうじに、秀さんが吹き飛んだ。



俺…死んだ?



いや、死んでない。




生きている。




銃弾は、近くにあった
ドラム缶にあたった。



間一髪だった。




「…お前…メイカ…」


黒い拳銃は、カランと音をたてて転がった。



一瞬の隙を見て、守が拳銃を拾った。



「秀さん、アンタ狂ってる。」


「……ッッぐ…」


「雫にここまでして、
アンタは幸せなの?
一度惚れた相手を暴力で支配しようとしたって何にもならないだろ!」



「ハハハハッッハハハハッッ!」



狂ったように笑う。



「松山ーッッ!やれ!」


「承知いたしました!」



そう言うと、松山は
メイカに走って近づいた。


松山の手には刃物。



「メイカ!!」



くそ…松山…



その時だった。



「メイカ危ない!!」



雫ちゃんが立ち上がり、



ドスッッ…



「ウッッ…」



松山が膝から崩れ落ちた。



雫ちゃんの手には、
転がっていた金属バット。



「私の親友に手出すんじゃねえ!!」



低くドスの聞いた声で
雫ちゃんは、叫んだ。



雫ちゃんが雫ちゃんじゃない!!



「秀…もうこんなのやめよう?」


「どうして…どうして…どうしてだ!!」


「なあ、雫!!
俺は…俺は雫がいないとダメなんだ!」


「秀にはアタシだけじゃないでしょ?
秀の会社には大事な社員がいるじゃない。
秀とヤンチャしたチームの仲間がいるじゃない。
優秀な松山さんがいるじゃない。
秀、秀には沢山いるんだよ。」



雫ちゃんは泣いていた。



そして、雫ちゃんは抱き締めた。




「秀、私は秀に出逢えて良かったよ。
私は、秀が大好きだった。」



「……し…ず…く…」





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