涙雨[ナミダアメ]
いつもなら、

「お帰り麗夜くん!!」

って言って、
また下手くそな笑顔浮かべんのに。

今日はなんだか弱ってる気がした。


「あれ、つかババアは?」


「さっき、急な用事ができたみたいで出て行ったよ?」


「ふーん。
じゃあ、雫ちゃんとふたりっきり!?最高じゃん~
何する~?」


そこまで人生甘くなかった。


「お前は勉強するんだろ?」


「ナッッ!!
テメエ何でいんだよ!
つか!!人ん家で勝手に風呂入ってでもって俺のジャージ着てるんじゃねえよ!」


「ちっさい男だな。」


どこまでもマイペースで
どこまでも図々しいやつ。


「まあいいや。
雫ちゃん部屋行こー。」

「待った!
今日はリビングに居なさい。」


「何で守に指示されんだよ…
勉強の邪魔だから去れ!」


「今日はお前の監視役なんだよ。
誰がこの危険な状況で京野先生とふたりきりにするか。」


「何もしねーし!
な?雫ちゃん?」


そう言っていつもの癖で
肩に手を回してしまった。


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