涙雨[ナミダアメ]
「つかさ、お前今日遊んでる場合じゃないんじゃないの?」


「はあ?」


「出た。
お前の嫌なことはすぐ忘れちゃうパターン。
お前今日家庭教師がくるんじゃねーの?」


げ…
そんなことすっかり頭になかった。


天才くんの守とは違って
俺は勉強がだいっきらい。

『このままじゃ、大学に受かるどころか卒業すらままならない。』


そう考えたババアが
勝手に家庭教師なんかつけやがったんだ。


「守…俺は勉強なんかよりも女の子のが大事なんだ。だから守ババアになんとか言っといてくれ!!」


守とは長い付き合いだから、ウチの家族とも普通になかがいい。


「断る。
今回ばっかは翔子さんに
言われてんだよ。
無理矢理連れて来なかったら、ぶん殴るって。
翔子さんにやられたら
顔がぐちゃぐちゃになりそうだし…勘弁だから。」


「ババア…脅しやがった…」


翔子っつうのはババア…つまり母親のこと。

ババアは、元ヤンだから
キレたら殺られそうな勢い。


「それにな言ってたぞ!?帰って来なかったら、
牧瀬りほのDVDとAV全て捨てるってよ。」


「何だって!?
それは困る。俺の宝物なんだよ!」


牧瀬りほはグラドルで
俺の永遠のアイドル。

AVだってなかったら俺生きてけねえし…


「しょうがねえ…
帰るか…」


「そうしろ。
俺の命がかかってんだから。」


「別に守の命はどーでもいいんだけどな~」



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