涙雨[ナミダアメ]
「で、その家庭教師はひなことどっちがかわいいわけ!?」


ひなこの高い声が耳に響く。


つか何で怒るんだ?


「そりゃ勿論………
ひなこだよ。」


なんて真っ平嘘。


前までは気にならなかったけど、ひなこは化粧が濃い。

雫ちゃんは、どっちかと言えば、ナチュラルで透明感がある肌がたまんなく可愛い。


だから雫ちゃんのが可愛い。


「なら許してあげる。」


何を?


「ねえ、今からうち来てよ。」


「なに、そんなにさかってんの?」


「まあね~」


さかってんのかよ…。


俺はあり得ないくらい
やりたいとか思わない。


「ひなこ、俺今日はパスだわ。」


「は?麗夜頭おかしくなった!?」


「いや、正気だから。
いいじゃんたまにはさ、普通に遊ぼうよ~」


なんて肉食女子から逃げようとしていると、


「こちらにどうぞ。」


店員が俺たちの隣に
客を通した。


瞬間、俺は飲んでいたブラックコーヒーを吹き出しそうになった。



< 37 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop