涙雨[ナミダアメ]
だってその客は…


「し、雫ちゃん!!」


雫ちゃんと高級そうなスーツを見にまとった男だったから。



「麗夜くん。」


いつもの眼鏡姿ではなく、ふんわり巻いた髪と
ワンピースを着た可愛らしい姿だ。


つか、これって完全に
デートに遭遇しちゃった感じだよな。


男の指には雫ちゃんと
お揃いの指輪がはめてあるから、多分彼氏だろう。


「うっわ~噂をすれば、
家庭教師!?
ひなこのがやっぱり可愛い~じゃん。」


なんて、ひなこが俺に巻き付く。


「雫、知り合いか?」


男は眉間にシワを寄せ、
低い声で雫ちゃんに聞いた。


「家庭教師のバイトで
担当してる生徒さんだよ。」


そう言うと、男は俺を睨み付けた。


何で睨まれる?


つか気間づいな。

「キミ、随分と雫になついているみたいだね。」


挑発するような目。


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