涙雨[ナミダアメ]
「雫ちゃーん、今日も可愛いからこれあげる~!」


「あーこれ、限定チーズケーキじゃん!!
モリリンありがとう~」


雫がモリリンと呼ぶ男は、秀の秘書であり、昔から面倒を見ている弟みたいな存在。

森 陸斗 モリ リクト 


森陸斗と雫は仲がよく、
兄と妹のような関係だった。


男で秀以外で、唯一連絡をとる仲だった。


「雫ちゃんが喜ぶと思って、2時間並んだんだぜ?」

「超嬉しいよ!ありがとうモリリン♪」


無邪気な笑顔を森陸斗に
見せる雫。
そんな雫に森陸斗も笑う。


そんなふたりを、パソコンをいじりながら見るたび、イライラする秀。


いつか雫を、コイツに取られそうで怖い。


雫は、俺だけのものだ。


嫌な感情ばかりが浮かぶ。


「陸斗、無だ口叩いてねえで仕事しろよ。」


「機嫌悪いっすね~秀さん。」


「そうだよ~
秀、どうしたの?」


美味しそうに、チーズケーキを口に運ぶ雫。


雫は、本当にわかっていない。


俺の気持ちも…
陸斗の気持ちも…


陸斗は多分雫に気がある。

女に何かをあげるなんてこと絶対しないやつが、
毎日のように何かをあげるなんてことをしているのだから…


長年一緒にいればわかる。


「雫、ちょっと来いよ…」



< 54 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop