涙雨[ナミダアメ]
会議室と言う名の
一回も使ったことのない部屋に雫を連れていった。


ただただ、イラついていた。


「秀、どうしたの?」


「お前、アイツと随分仲いいよな…」


次第に、雫の真ん丸な目に涙が浮かぶ。


だって初めて、雫をお前と呼んだから。

手首を掴み、雫を机に押し倒した。


こんなことしたいわけではない。


けど、雫が離れていってしまいそうで怖かった。


ただただ怖かったのだ。



「…秀?」


不安そうに見つめる雫…


気づいたら、雫の手首を掴み机に押し倒していた。


「アイツとあんま仲良くすんなよ。
格好悪いけど、俺嫉妬した。」


「ごめん。」



「俺こそ、ごめんな。
こんなことして。」


大丈夫だよ。と雫は無邪気に笑った。



< 55 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop