涙雨[ナミダアメ]
静かな部屋で、口を開いたのは森陸斗だ。


「雫ちゃんさ、此処来るの久しぶりだね?」


「うん。」


「最後に雫ちゃん来た日、 秀さんに釘さされたよ。」


「雫は俺のだ。
もし手なんか出したら、 お前の命ねーよ。ってな。」


ハハっと悲しく笑う。


「昔の秀さん思い出したわ。族時代の秀さん超恐かったんだよ?」


「そうなんだ。」


族時代の秀を雫は知らない。


今の優しい雰囲気からは
想像がつかない。




「あのさ、雫ちゃん。」


「なに?」


「俺、秀さんにすっごい感謝してるんだ。
ゴミクズみたいな俺をさ拾ってくれて今も側に置いてくれてる。」


森陸斗は、秀の族のメンバーだった。


その頃から、今まで
秀の下にいる。


「だからね、秀さんに命捧げる覚悟くらいできてんだ。」


静かに、雫が座る秀のデスクに腰をおろした。



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