涙雨[ナミダアメ]
思考が途切れてきた時、
部屋にドンっと激しい音が響き渡った。


瞬間、森陸斗は唇を離した。



そしてふたりの前に、
恐ろしい顔をした秀がいた。


冷たい空気が流れ、
雫は顔を歪めた。



そんな空気をよそに、
なんの悪びれもなく森陸斗は口を開いた。



「秀さん、早くない?」


「お前等何してるの?」


「見たまんまだよ。
雫ちゃんにキスした。」


冷たい瞳で低い声の秀と
いつもと変わらない、軽い感じの森陸斗。


そんなふたりを見て、
背筋が凍った。



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