涙雨[ナミダアメ]
秀は酷く悲しかった。


悪いのは、陸斗だ。
陸斗から雫にキスをしたのだから。


なのに、雫は自分が悪いという。


陸斗を庇った。



嫉妬に狂う俺と相手を庇う優しい雫。


そんな雫を突飛ばし、
また拳を振るった。



鈍い音が響き渡る。


「雫に手出したら命ねえって言っただろ!」


「……ッッグッッ
わかってるよ。」


もう何回殴っただろう。



気づけば、秀の手は真っ赤になっていた。



森陸斗は、ぐたりと
床に転がった。



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