涙雨[ナミダアメ]
「モリリンッッ!!」


涙を浮かべ森陸斗の体を揺するも彼は動かない。


秀は、血まみれになった手でタバコをふかした。



「秀ッッ!モリリン動かないよ!」


「ああ…」


「どうすんの!?
モリリン…死んじゃうよ…」


泣きじゃくる雫を、
秀は抱き締めた。


「雫は…俺を見捨てる?
嫉妬で狂った俺なんかもういらないか?」


「見捨てない。
秀を見捨てるわけないよ。」


こんな時にも、
秀は雫しか頭になかった。

ふたりは、涙混じりのキスをした。


「あのさ~ッッ…
俺まだ生きてるんですけど~」

森陸斗は、掠れた声で言った。


「モリリンッッ!!
ごめんね。私のせいで。
本当にごめんね。」


雫は、ひたすら謝った。



この日がきっかけで、
秀は変わったのだ。


そして雫も、涙を流さなくなった。
それと同時に雫が本気で笑うこともなくなった。


ふたりの愛は狂っていくのだ。



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