ヴァニタス
「また何かあったら、今度はちゃんと警察へ相談しにきてくださいね」

そう言った女性に、
「ありがとうございました」

私と武藤さんは頭を下げた。


警察署から武藤さんの自宅へ向かう間、行きと同じように武藤さんは私の躰に気を使いながら、歩調をあわせてくれた。

「相談してよかったでしょ?」

武藤さんが私に話しかけた。

「はい、よかったです」

私は首を縦に振ると、返事を返した。

「警察はちゃんと味方をしてくれるんだよ」

「はい」

でも1つだけ、
「私と武藤さんが夫婦、ってことになっちゃっているんですけど」

武藤さんの言い方のせいで、警察には変な誤解を与えてしまった。
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