ヴァニタス
武藤さんに会えて、彼に恋をして、一緒に乗り越えることを約束してくれた。

1人だったら、私は死んでいた。

もし死んでいたら、武藤さんに会えることなんてなかった。

武藤さんに会って、恋をすることも、一緒に乗り越える約束を交わすこともなかった。

「いい子だよ、果南ちゃん」

返事をした私を武藤さんは嬉しそうに笑うと、またりんごをかじった。

私も彼のマネをするように、りんごをかじった。


一緒にりんごを食べて、日が暮れるまで海を見た後、私と武藤さんは家路についた。

「あっ、こんにちわ」

家についた私と武藤さんを迎えたのは、制服姿のおまわりさんだった。

「こんにちわ」

「…あっ、こんにちわ」

おまわりさんの姿を見た武藤さんと私はあいさつをした。
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