ヴァニタス
果実と砂時計と、髑髏――その絵を楽しみにしていたはずだったのに、私はいつの間にか忘れてしまっていた。

「果南ちゃん、気に入った?」

そう聞いてきた武藤さんに向かって私は両手を広げて、
「――えっ、果南ちゃん…?」

彼を抱きしめた。

「果南ちゃん、どうしたの?」

私に抱きしめられた武藤さんは突然のことに戸惑っている。

もう迷わない。

もう逃げない。

そう思いながら、私は口を開いた。

「――武藤さんのことが好きです」

私は言った。

「――えっ…?」

私に突然抱きしめられたうえに、私に突然告白されたことに、武藤さんは戸惑っている。

「初めてあなたに出会った時から、あなたに恋をしていました」

包み隠さず、自分の気持ちを武藤さんに打ち明けた。
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