ヴァニタス
「もう少しだけ、わがままを言うなら…」

武藤さんが言った。

「果南ちゃんを抱きたい」

その言葉に、私の心臓がドキッと鳴った。

それの意味って、確か…?

私の間違いじゃなかったら、そんな意味だったはずだ。

「果南ちゃんとの間に子供が欲しい」

「――ッ…」

私の顔が赤くなったのがわかった。

私を抱きたいって言うのは、やっぱりそう言う意味なんだよね?

「ごめん、言い過ぎた」

武藤さんは笑った。

「結ばれて早々、俺は何を言っているんだろうね。

果南ちゃんもビックリしちゃったでしょ?」

武藤さんは笑いながら、私から躰を離した。
< 222 / 350 >

この作品をシェア

pagetop