ヴァニタス
「私も忘れません」

私は言った。

満月が美しい夜に好きな人に抱かれて、好きな人に愛されて、好きな人を愛したこの夜を、私は一生忘れない。

「武藤さん」

私は武藤さんの名前を呼んだ後、自分から武藤さんと唇を重ねた。

「愛しています」

そう言った私に、
「俺も果南を愛してる」

武藤さんがそう言った後、私と唇を重ねた。

唇を離した後、
「もう少し、眠ろうか?」

そう言った武藤さんに、
「はい」

私は首を縦に振ってうなずいた後、そっと目を閉じた。
< 244 / 350 >

この作品をシェア

pagetop