ヴァニタス
日が暮れると、私たちは家までの道を歩いた。

もちろん、手は繋いだままである。

「夕焼けがキレイなところを見ると、明日もいい天気になるね」

オレンジ色の太陽を見あげながら武藤さんが言った。

「そうですね」

私は答えた。

武藤さんは私に視線を向けると、
「また明日も一緒に…」

そこまで言いかけた時、武藤さんは手で自分の胸を押さえた。

「武藤、さん…?」

「――うっ…ぐっ…」

シャツのうえに爪を立てるように武藤さんは手で自分の胸を強く押さえている。

「武藤さん!?」

私が武藤さんの名前を叫んだのと同時に、武藤さんはガクンと膝から崩れ落ちた。
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