ヴァニタス
「えっ…?」

私は武藤さんを見あげた。

「――俺が果南ちゃんを守る…。

命がどうなったって、果南ちゃんだけは俺が守る…。

だから、大丈夫だ…」

そう言った武藤さんの言葉に答えるように、私は彼の首の後ろに自分の両手を回した。

「やめろー!」

同時に、悪魔が叫んだ。

「果南から離れろ…!

今すぐ果南から離れろー!」

叫んでいる悪魔に向かって、
「離れる訳ないだろ!」

武藤さんが叫び返した。

「果南ちゃんは俺の天使で、俺の恋人だ。

そんな彼女から離れてお前に渡そうと思ったら大間違いだ!」
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