ヴァニタス
「果南ちゃんはもう自由なんだよ。

あいつはもう2度と果南ちゃんの前に現れない。

それどころか、世間にも出てくることはないんだよ」

そう言った武藤さんに答えるように、私は首を縦に振ってうなずいた。

やっと、私は自由になれたんだ。

私は悪魔から解放されたんだ。

もう悪魔は私の前に2度と現れない。

私の大切な人たちを傷つけることはない。

「――武藤さん…」

「うん、果南ちゃんはよく頑張った。

果南ちゃんはよく耐えたよ」

武藤さんは何度も言って、私の頭をなでてくれた。
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