ヴァニタス
悪魔は必ずやってくる
時計もなければカレンダーもないから、自分がここで暮らし始めて何日経ったのかわからない。

短いような気もするし、長いような気もする。

そのことを武藤さんに話したら、
「いいんじゃない。

これが人間本来の生活って感じで」

彼は笑いながら炒飯を頬張った。

「時計があると、つい急いじゃうでしょ?

何時までにあれをやらなきゃ、これをやらなきゃって」

「…そんなものですか?」

そう聞いた私に、
「果南ちゃんだって、ここへくる前は忙しくしてたんでしょ?」

聞き返した武藤さんに、私は首を縦に振ってうなずいた。
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