ヴァニタス
「――ッ、クッシュン!」

寒い空気に躰が感じて、自分のくしゃみに目を覚ました。

「あっ、真っ暗だ…」

辺りはすっかり日が暮れて、真っ暗闇に包まれていた。

月明かりすらもないところを見ると、今夜は新月なのかも知れない。

「あれ?

武藤さんは?」

私は武藤さんがここにいないことに気づいた。

と言うか、武藤さんがここにいたら灯りついてるよね?

私はソファーから腰をあげると、
「確か、この辺に電球のヒモが…」

暗闇で手を伸ばして、ヒモの在り処を探す。

「あった」

ヒモを引っ張ったら、カチリと音がした。
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