ヴァニタス
そこにいたのは、
「やあ」

南部だった。

どうして?

どうして、私の家を知ってるの?

恐怖で、また躰が震え出す。

「君が所属している部署を訪ねたら、君は体調を崩して休んでいるって聞いたんだ。

これ、もしよかったらだけど」

南部は銀色の袋に手を入れた後、そこから何かを取り出した。

薬局に、行ってきたの…?

「はい」

南部は私に何かを差し出してきた。

生理薬だった。

「よくわからなかったから、店員さんに聞いてきたんだ」

南部はそう言った後、笑った。
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