ヴァニタス
南部は不思議そうな顔をして私を見つめた。

「気持ち悪いです…。

どうしてこんなことをするんですか…?

確かに体調は悪いとは言ったけど、でも薬を買ってきてくれなんて、頼んでいないです…。

何でこんなことをするん…」

頬を襲った衝撃に耐えることができなくて、私はその場に倒れ込んだ。

「気持ち悪いって、何が?」

南部の怖い顔と目があった。

「僕たちはつきあっているんだろ?

恋人の体調を心配して、何が気持ち悪い?

薬を買ってきて、何が気持ち悪い?」

つきあってるって、私と南部が?

恋人って、私のこと?

「私はつきあってるなんて思ってないし、言った覚えも…」

最後まで言わせないと言うように、南部が私の躰を蹴った。
< 78 / 350 >

この作品をシェア

pagetop