ヴァニタス
「やめてー!」

私が叫んでも南部は止めることなく、私に拳と蹴りを与えてきた。

躰に与えられる衝撃と痛みに、私はどうすることができない。

怖い…。

どうしてつきあってるって思ったの?

どうして私を恋人だと勘違いしてるの?

私はつきあってるなんて言った覚えはない。

私は恋人だと思った覚えもない。

どうして、私は彼に暴力を振るわれているの?


カチコチと時間を刻んでいる時計の音に、私は目を開けた。

「――痛ッ…」

躰を起こすと、痛みが走った。

南部に殴られて、蹴られたところが痛い。
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