ヴァニタス
「ありがとうございましたー」

次に就職したところは、小さなお惣菜屋さんだった。

仕事仲間は30代後半から40代のおばさんたちだったけど、突然入ってきた20代の私を温かく迎えてくれた。

「果南さん。

今日の売れ残りで申し訳ないんだけど…」

「わーっ、ありがとうございます!」

日によっては売れ残りのお惣菜をくれるので、食費には困らなかった。


勤め始めて3ヶ月経ったことだった。

この日も仕事を終えて、自宅である小さなマンションに帰った時だった。

「――えっ…?」
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