ヴァニタス
ああ、まただ…。

悪魔は私に暴力を振るってきた。

「やめて…!

どうして私に暴力を、振るうの…!?

私、あなたとつきあった覚えなんか…!?」

暴力を振るわれながらも、悪魔に向かって言葉をぶつける。

だけど、
「うるさい!

僕は君のことを愛しているのに!

恋人を探して何が悪い!

恋人とつきあって何が悪い!」

悪魔は私の言葉に耳を傾けない。

ダメだ…。

悪魔は私の言葉を信じてくれない。

つきあってると自分で自分を信じて、私を恋人だと勝手に勘違いしている。

――だから、私が何度言葉をぶつけても信じてもらえない。
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