ヴァニタス
「でも…でも、警察にDVの相談をしに行った友人がいて…。

だけど、警察は“ケンカの延長戦だから”と言う理由で相手にしてくれなかったって…」

「そんな理由から警察は相手にしてくれない、信用できないって言うのか…!?」

私は首を縦に振ってうなずいた。

「わかった」

武藤さんは私を見つめると、
「俺が警察に行って、果南ちゃんが理不尽なストーカー被害に遭っていることを伝えに行く」
と、言った。

「そんな、武藤さん!」

「行かなきゃ、果南ちゃんはまた自殺しようとするじゃないか!」

武藤さんは強い口調で怒鳴った。

「果南ちゃんには、生きて欲しいんだよ…。

生きて、いろいろなことを知って、いろいろなことを見て欲しいんだよ…」

武藤さんはまた泣き出した。
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