ヴァニタス
私の話を聞き終えると、
「どうしてすぐに相談してくれなかったんですか!?」

中年男の責めるような口調に、私は目を伏せた。

「――すみません…」

呟くような声で謝った私に、
「本人は警察に相談したら事態が悪化すると思って、言わなかったそうなんです。

私も、数日前に彼女から話を聞いたばかりで」

武藤さんが私をかばってくれた。

「そうだったんですか…」

中年男は呟くように言った。

「それで、あなたにストーカーをしていると言う会社の先輩の男性はどちらにいらっしゃるかわかりますか?」

女性が私に質問をしてきた。
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