スイートナイト
優は名刺を見ると、
「ああ、今日上司に連れられてこの店に寄ったんだ」
と、答えた。

「上司?」

私が聞き返すと、
「俺は結婚してるから嫌だって断ったんだけど、その上司がしつこくてしつこくて…結局ついて行った、みたいな」

優は答えた。

「ホントだって!」

そんなことを言った優に対し、私は一体どんな顔で彼を見ていたのだろう。

「俺、ホントに断ったんだって!

なのに、店に一緒に行こうってしつこくてしつこくて…」

必死で弁解する優に、私は何を言えばいいのかわからなかった。

「静希が思っているようなことなんてないから、な?」

優が私の肩に手を置いた。
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