スイートナイト
「そ、それは…俺も仕事でイライラしていたから…」

「イライラしていたからって、私に八つ当たりをしていいと思ったの?」

「ち、違う。

それは無意識で…」

そう呟いた優の目が時計に向けられた。

「ごめん、もう時間だ」

優は寝室へ向かった。

新しいシャツとスーツに着替えた優が寝室から出てきた。

「静希、離婚なんてバカな考えはやめてくれ」

「離婚のどこがバカな考えよ!

世間体を大切にしたいの間違いじゃないの?」

声を荒げた私に、
「とにかく今は、もう時間がないんだ。

今日はなるべく早く帰るから、夜にゆっくり話そう。

静希の話もちゃんと聞くから」

優はそう言うと、急ぎ足で玄関へ向かった。
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