スイートナイト
「さっき巽くんから電話の着信があったんだけど、何か用事?」

ドキドキと鳴っている心臓を手で押さえながら、私は落ち着いて聞いた。

「昨日、静香さんが店にきたんだ」

巽くんが言った。

「えっ、静香が?」

どうして?

静香が何の用で、巽くんのところにきたの?

…まさか、私が結婚していることを話にきたんじゃないよね?

今度は違う意味で心臓がドキドキと鳴った。

背中に冷や汗が流れるのを感じる。

…別に、巽くんが真実を知ろうがどうしようが、そんなもの知ったこっちゃないのに。

「静香さんからミュージカルのチケットを2枚もらったんだ」
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