スイートナイト
「おかえりなさい」

「おお、ただいま」

優はジャケットを脱ぐと、私に渡した。

…んっ?

今脱いで渡された優のジャケットから、甘い香水の匂いがしていることに気づいた。

「優」

「何だ?」

「…何か香水の匂いがするんだけど」

優は香水なんか使っていないはずだ。

「ああ…帰りの電車で移されたんだな。

隣に香水の匂いがキツいババアが座っててさ。

明日取引先にそのスーツで行くからファフリーズしといて」

優はそう言うと、バスルームへ向かおうとした。
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