スイートナイト
「ご飯は?」

その背中に問いかけると、
「外で食べてきたからいらない」

優はそう答えると、バスルームの方へと消えて行った。

「いらないなら、言ってくれればいいのに…」

そうしたら、明日のために早く寝ることができたのに。

心の中で優に毒づくと、渡されたジャケットをハンガーにかけた。

クローゼットからファフリーズを取り出すと、プシュッとジャケットに吹きかけた。

優が言っていたそのおばさんが果たして何歳なのかはどうかわからないけど…おばさんがこんな甘ったるい匂いのする香水を使うのかしら?

そもそも、今日は何で早く帰ってきた訳?

さっき優に言えなかったその気持ちをぶつけるように、私は彼のジャケットにファフリーズを吹きかけた。
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