スイートナイト
「ううん、違うの。

今ちょっと、ぼんやりしてたところだったの。

夜、なんだよね?」

続けて慌てて謝った私に、
「うん、夜だよ」

静香は答えた。

今夜か…。

優のことだ。

どうせ今夜も遅くに帰ってくるに決まってる。

出かけるのに、優の許可を取る必要なんてあるまい。

そう自分に言い聞かせると、
「いいよ」

私は言った。

「えっ、いいの?」

静香は驚いたように言った。

「いいのって、誘ってきたのは静香でしょ?」

「まあ、そうだけど…」

私の返事が意外だったのか、静香は戸惑っている。
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