スイートナイト
真っ暗な部屋に吐きだされるのは、お互いの荒い呼吸の音。

冷たい空気が熱く火照った躰にちょうどよかった。

「――ごめん…」

巽くんが呟くように言った。

私は彼に視線を向ける。

巽くんは私と目をあわせると、
「俺、優しくできなかった…。

初めて静希を抱けたことが嬉しくて、激しくした…」

かすれた声でそう言った後、私を抱き寄せた。

私は首を横に振ると、
「私は、嬉しかった…。

愛されているんだって、そう思った…」

同じくかすれた声で、巽くんに言った。

「静希」

巽くんが私の額に唇を落とした。
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