オオカミとライオンに挟まれて
低い声の主を恐る恐る見ると、さっき入ってきたドアの影からのっそりと出てきた。
片手で頭をかきながら、威圧的な目で私を睨むその人。
黒と茶色が混ざった髪。
着崩れた制服。
首のシルバーアクセサリーにピアス。
…俗に言う、不良男子だ。
「…誰だって聞いてんだよ」
何も言わない私に痺れを切らしたのか、更に恐い府陰気が漂う。
「…あ…き、今日転校してきた、汐 かのんです」
「転校…?あぁ、それでか」
何となく和らいだ府陰気にふぅ、と私も力を抜いた。