オオカミとライオンに挟まれて


低い声の主を恐る恐る見ると、さっき入ってきたドアの影からのっそりと出てきた。



片手で頭をかきながら、威圧的な目で私を睨むその人。

黒と茶色が混ざった髪。
着崩れた制服。
首のシルバーアクセサリーにピアス。


…俗に言う、不良男子だ。



「…誰だって聞いてんだよ」


何も言わない私に痺れを切らしたのか、更に恐い府陰気が漂う。


「…あ…き、今日転校してきた、汐 かのんです」

「転校…?あぁ、それでか」



何となく和らいだ府陰気にふぅ、と私も力を抜いた。


< 8 / 11 >

この作品をシェア

pagetop