夜明けのコーヒーには 早すぎる
 それから、特に話題が盛り上がることもなく、四人は喫茶店を出た。
 「呑みに行かない?」とYが皆に言った。
 ヒロコは冗談じゃない。と思い、「わたしは先約があるので、ここで」と言った。
 するとTが、「おれも自己中な人とは呑みたくない」と言って、さっさと立ち去ってしまった。
 「わたしたちも行こっか?」
 「あ、ああ」
 と言って、YとKも立ち去っていった。

 ヒロコは一人取り残される形となる。
 Tが言った自己中という言葉が甦り、ヒロコの中で沸々と怒りが湧き出してくる。
 ヒロコは携帯を取り出し、電話を掛ける。
 4回目のコールの後、「はい」ぼくは電話に出た。

 とまあ、これがヒロコの愚痴の内容である。
 もうお解りになったと思いますが、電話に出たぼくは、ヒロコに呼び出されて今に至っているわけです。
 「冗談じゃないわよ!」
 ヒロコは梅酒を呷った。
 「何でわたしがあんな、女性を性処理用の道具にしか考えてないような奴に自己中呼ばわりしなきゃいけないのよ!」
 「仰る通りでございます」
 ぼくは冷や奴をパクり。
 通り掛かった店員さんに、梅酒ロックを注文する。
 「ああ!思い出しただけでも腹が立つ!」
 ヒロコは凄い勢いで、つまみを平らげていく。
< 11 / 200 >

この作品をシェア

pagetop