夜明けのコーヒーには
早すぎる
もしそうだとすれば、カミングアウトしたい自分と、したくない自分とがいるのだろう。
どちらが本当ではなく、どちらも本当なのだ。
そして、どちらも本当なのだから、どちらの気持ちに従おうと自分を偽っていることにはならない。
詮のないこと、だな。
スイセイは、心の中で呟いた。
頭に靄(もや)が掛かった様な感じがして、身体が心地よい浮遊感に包まれる。
スイセイの意識が消えそうになった、その時―
ブーブーブー
内ポケットの中で、携帯電話が震えた。
頭の靄(もや)は晴れ、スイセイは意識を取り戻す。
内ポケットから、携帯電話を取り出してみると、「カトリユラ」と表示されていた。
「話があるから、『ロンド』まで来て」
スイセイの耳に、電話越しのユラの声が甦る。
思い詰めた様な声だった。
もしかしたら、何か深刻な問題でも起こったのかも知れない。
そう思うと、スイセイの足は自然に駆け出していた。
駅から「ロンド」へ走る道すがら、スイセイの頭の中では思考が渦巻く。
何故、自分は走っているのだ?
生徒の為。
本当にそうか?偽装結婚の相手を、捕まえておきたいだけじゃないのか?
そうかも知れない。否定は出来ない。
出来ないんだ。
「出来ない」
どちらが本当ではなく、どちらも本当なのだ。
そして、どちらも本当なのだから、どちらの気持ちに従おうと自分を偽っていることにはならない。
詮のないこと、だな。
スイセイは、心の中で呟いた。
頭に靄(もや)が掛かった様な感じがして、身体が心地よい浮遊感に包まれる。
スイセイの意識が消えそうになった、その時―
ブーブーブー
内ポケットの中で、携帯電話が震えた。
頭の靄(もや)は晴れ、スイセイは意識を取り戻す。
内ポケットから、携帯電話を取り出してみると、「カトリユラ」と表示されていた。
「話があるから、『ロンド』まで来て」
スイセイの耳に、電話越しのユラの声が甦る。
思い詰めた様な声だった。
もしかしたら、何か深刻な問題でも起こったのかも知れない。
そう思うと、スイセイの足は自然に駆け出していた。
駅から「ロンド」へ走る道すがら、スイセイの頭の中では思考が渦巻く。
何故、自分は走っているのだ?
生徒の為。
本当にそうか?偽装結婚の相手を、捕まえておきたいだけじゃないのか?
そうかも知れない。否定は出来ない。
出来ないんだ。
「出来ない」