夜明けのコーヒーには 早すぎる
 つまり、食事によってコレステロールを摂取するのが稀な草食の兔と違い、食事によってコレステロールを摂取してきた人間は、コレステロールを一定に保つ機能を有しているのだという。
 この説が正しければ、一つ謎が解ける。
 何故、卵だけが制限されるのか?という謎だ。
 鶏卵の黄身にコレステロールが多量に含まれているのは事実だが、その他の食物にもコレステロールは含まれている。
 ならばすべからく、コレステロールを含む食物全てが制限されていてもいい筈だ。
 しかし、制限されてはいない。
 少し面白いのが、鶏卵の黄身の次にコレステロールを含んでいるのは、なんと鯣(するめ)なのだとか。
 これでは、摂取量を制限した途端に飲兵衛による暴動は必須。
 というよりも、鯣(するめ)を肴にしている人の方が、コレステロールを取り過ぎている可能性すらある。
 そう考えると、卵の量なんて余り気にしなくてもいいのではないのだろうか?
 ―ユラはそんなことを考えながら、卵を二個スクランブルエッグにした。
 ベーコンとスクランブルエッグを、かりかりに焼いた食パンに挟んで、かぶり付く。
 軽めに振った塩胡椒が効いて、とても美味である。
 ユラは温(ぬる)めに淹(い)れたコーヒーと一緒に、即席サンドを平らげた。
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