夜明けのコーヒーには
早すぎる
肴(さかな)その九 二人の出会い
ぼくがヒロコと初めて邂逅(かいこう)したのは、大学に入ったばかりの頃、新入生同士の飲み会の席でだった。
ヒロコは新入生の中でも、飛び抜けて目立っていた。その一番の理由は、非凡な容姿を有していることにある。ヒロコは何というか、良い意味で日本人離れしていた。スラリと伸びた手足に、通った鼻筋、少し釣り上がり気味の眼には意思の強さが表れているようだった。
―そこら辺のモデルなんて、裸足で逃げていきそうだ。
これが、ぼくのヒロコに対する偽らざる第一印象だった。
そんなヒロコに、ぼくのような地味な人間が相手にされる筈はない。そう思ったぼくは、ヒロコから視線を外し、新入生たちを眺めながら呑むことに集中することにした。
ぼくは隅の席だったので、隣は女の子一人だけだった。人見知りするぼくには有り難い。時折、隣の女の子と雑談を交わしつつ、ぼくはお酒を楽しんでいた。
飲み会が始まり、小一時間程経って宴も闌(たけなわ)といった頃、ぼくの隣に座っていた女の子が席を立ち、違うテーブルに歩いていった。親睦会という形を取っている為、皆それぞれ好きなように席替えをしている。最初から同じ席に座っているのは、恐らくぼくぐらいだろう。
ヒロコは新入生の中でも、飛び抜けて目立っていた。その一番の理由は、非凡な容姿を有していることにある。ヒロコは何というか、良い意味で日本人離れしていた。スラリと伸びた手足に、通った鼻筋、少し釣り上がり気味の眼には意思の強さが表れているようだった。
―そこら辺のモデルなんて、裸足で逃げていきそうだ。
これが、ぼくのヒロコに対する偽らざる第一印象だった。
そんなヒロコに、ぼくのような地味な人間が相手にされる筈はない。そう思ったぼくは、ヒロコから視線を外し、新入生たちを眺めながら呑むことに集中することにした。
ぼくは隅の席だったので、隣は女の子一人だけだった。人見知りするぼくには有り難い。時折、隣の女の子と雑談を交わしつつ、ぼくはお酒を楽しんでいた。
飲み会が始まり、小一時間程経って宴も闌(たけなわ)といった頃、ぼくの隣に座っていた女の子が席を立ち、違うテーブルに歩いていった。親睦会という形を取っている為、皆それぞれ好きなように席替えをしている。最初から同じ席に座っているのは、恐らくぼくぐらいだろう。