夜明けのコーヒーには 早すぎる
そしてその後は、互いのことを話したり、時折話に交ざってくる人を交えて話したりもした。ぼくの記憶が正しければ、二次会はカラオケに突入して皆で盛り上ったと思う。ぼくも下手ながら、知っているロックを何曲か歌った。しかし、やはり一番印象に残っているのは、ヒロコだ。ヒロコは、当時流行っていた「キューティーハニー」を熱唱していた。女性の色気に疎いぼくでも、どぎまぎしてしまう程の衝撃だったと記憶している。
 とまあ、そういう訳でヒロコと知り合いになったものの、将来の呑み友になるとは全く思っていなかった。この時はまだ―
 最初の飲み会から後も、酒好きのぼくは、飲み会には必ずといっていい程参加した。そしてそれは、ヒロコも同じだったようだ。二度三度と一緒に呑んでいる内に、ぼくとヒロコはすっかり打ち解け、所謂(いわゆる)気の置けない間柄という関係になっていった。
 そんなある日、ぼくとヒロコとヒロコの友人のリョウコさんとの三人で、ヒロコの部屋で呑むことになった。経済的に寂しい学生時代、少しでも出費を抑えて呑もうと苦心する心情は、理解し易いかと思われる。居酒屋などと違い、皆で出し合って呑めば、人数が多くなればなる程、一人当たりの負担は
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