夜明けのコーヒーには 早すぎる
 ―と、ぼくが頭を悩ませていると、「別れる方法はあるよ」とヒロコが言った。
 「どうするのですか?」
 「鎌をかければいいのさ」
 ヒロコは破顔一笑して、お猪口を傾けた。
 「鎌、ですか」
 「そうさ。浮気にしろ、何にせよ、後ろ暗いことがあるのは向こうなんだから、『この前のことは忘れてあげるから、大人しく別れましょ』って言えばいい。もし、それでもしつこく付き纏(まと)ってくるなら―」
 「ど、どうするの?」
 リョウコさんはヒロコに詰め寄った。
 「その時は、こちらも手段を選ばなければいい」
 ヒロコは静か言い放つと、再び破顔一笑した。
 ―眼、以外は。
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