夜明けのコーヒーには
早すぎる
「ごめんなさい」リョウコさんは、頭を下げる。「急に呼び出して、相談したいだなんて」
「謝ることないよ」ヒロコは破顔する。「友達じゃない」
「右に同じです」ぼくは日本酒を呷る。「ぼくたちに出来ることなら、何でも言って下さい」
「ありがとう」リョウコさんの目尻が、少し潤む。「二人とも」
「それで―」ヒロコは日本酒を呷り、「相談したいことって?」と言いつつ、手酌をしようとして、軽く徳利(とっくり)を振ると、店員さんを呼び、日本酒を二合頼んだ。
「実はね」リョウコさんは小声になる。「夫が浮気してるかも知れないの」
「浮気?」ヒロコは眉根を寄せる。「確かなの?」
「証拠はないけど、多分」
「そうですか」ぼくは日本酒を呷る。「何か、旦那さんに怪しい所でも?」
リョウコさんは頷く。「あるわ。先ず、携帯を肌身離さずに持ち歩くようになった」
「ふむ。確かに怪しい。何か、見られると不味いことでもあるのかしら」
「そうとしか考えられない。だって、お風呂にも持って行くぐらいだもの」
「風呂にまで、か」ヒロコは日本酒を呷る。「益々怪しいね」
「しかも用心しているのか、家では掛かってくる電話に出る以外、絶対に携帯を使わないの」
「謝ることないよ」ヒロコは破顔する。「友達じゃない」
「右に同じです」ぼくは日本酒を呷る。「ぼくたちに出来ることなら、何でも言って下さい」
「ありがとう」リョウコさんの目尻が、少し潤む。「二人とも」
「それで―」ヒロコは日本酒を呷り、「相談したいことって?」と言いつつ、手酌をしようとして、軽く徳利(とっくり)を振ると、店員さんを呼び、日本酒を二合頼んだ。
「実はね」リョウコさんは小声になる。「夫が浮気してるかも知れないの」
「浮気?」ヒロコは眉根を寄せる。「確かなの?」
「証拠はないけど、多分」
「そうですか」ぼくは日本酒を呷る。「何か、旦那さんに怪しい所でも?」
リョウコさんは頷く。「あるわ。先ず、携帯を肌身離さずに持ち歩くようになった」
「ふむ。確かに怪しい。何か、見られると不味いことでもあるのかしら」
「そうとしか考えられない。だって、お風呂にも持って行くぐらいだもの」
「風呂にまで、か」ヒロコは日本酒を呷る。「益々怪しいね」
「しかも用心しているのか、家では掛かってくる電話に出る以外、絶対に携帯を使わないの」